過敏性腸症候群で仕事がつらい…症状改善に向けた対処法3選と利用できる制度を紹介！

この記事を見ているあなたは、このような悩みを抱えていませんか？

過敏性腸症候群（IBS）は仕事や日常生活に深刻な影響を与える病気です。しかし、周囲からは単なる「腹痛」や「下痢」などと誤解されやすいため、適切な理解が得られず仕事に行けなくなることもあるでしょう。

について解説していきます。

この記事が、あなたに合った働き方を見つけるきっかけとなれば幸いです。

過敏性腸症候群（IBS）とは？

過敏性腸症候群（IBS）とは、精神的なストレスや自律神経の乱れなどによって、腸の機能に異常が発生する病気です。日本人の有病率は約10％とされており、身近な病気と言えるでしょう。

過敏性腸症候群は、下記の4タイプに大きく分類されています。

この病気の症状は「腸の働き方が過敏になる」ことで表れますが、腸自体に炎症や腫瘍などの目に見える異常が起こるわけではありません。病院で検査をしても「異常なし」とされることも多いため、周囲からの理解が得られず、さらに悩みが深くなるケースもあります。

命に関わる病気ではありませんが、正確な原因がわかっているものではなく、治療には時間がかかります。過敏性腸症候群だと思ったら別の病気だった、という場合もあるため、症状がつらい時は我慢せず、消化器内科を受診することが大切です。

症状を繰り返すほど悪化しやすい

過敏性腸症候群の方の多くが悩んでいるのは、「また腹痛や下痢が起きたらどうしよう」という予期不安でしょう。しかし、私たちの脳は不安をストレスと受け止めてしまうため、自律神経のバランスが崩れる原因となってしまいます。

そのため、過敏性腸症候群は、

このような流れで悪化しやすい病気なのです。

この悪循環を繰り返すことで、「外出＝つらいもの」という認識が定着してしまうと、外出しようとするだけでも腹痛や下痢の症状が出るようになります。

そのため、症状を改善させるためには身体的な対策だけでなく、カウンセリングやストレスマネジメントなどを通じた心のケアも重要です。焦らず、あなたのペースで治療を進めていきましょう。

過敏性腸症候群の方が抱える、3つの仕事の悩み

過敏性腸症候群は命に関わる病気ではありませんが、「いつ症状が表れるかわからない」という不安から、仕事に大きな影響を与えることがあります。

この項目では、過敏性腸症候群の方に多い、仕事での悩みを解説していきます。

トイレの不安で仕事に行けない

過敏性腸症候群の人は通勤中の電車や車の中など、「すぐにトイレに行けない場所・状況」にいるだけで強い緊張感に襲われてしまいます。

そのため、「今日はちゃんと出社できるだろうか？」という不安から出勤前に腹痛や下痢が頻繁ひんぱんに起こり、トイレから動けなくなってしまい、遅刻や欠勤を繰り返してしまうのです。

この不安は、体調が悪い日に限らず、体調が安定している日に起きることもあります。「今日は大丈夫そう」と思っていても、移動中に症状が出て何度もトイレに駆け込んでしまう事態が続くと、出社そのものに困難を感じるようになります。

しかし、このような「トイレの不安」は過敏性腸症候群の人でなければ理解されづらく、悩みを伝えられないまま心身の負担が大きくなることもあります。

トイレの時間が長すぎて仕事に支障が出る

過敏性腸症候群の人にとって、仕事中に「頻繁ひんぱんにトイレに行く」「長時間トイレにこもってしまう」のはどうしても避けられないことがあります。しかし、これは周囲から「サボっているのでは？」「やる気がないのでは？」と誤解される原因になりやすいのです。

職場で何度も離席するたびに、上司や同僚から「またトイレ？」という視線や空気を感じてしまい、自分の行動が浮いて見られているのではないかと不安になることがありますよね。また、トイレに時間を取られてしまい、思うように仕事が進まないことに焦りや自己嫌悪を抱えてしまうこともあるでしょう。

このように、過敏性腸症候群の人は体調と向き合いながら働くのが難しく、仕事で本来のパフォーマンスを発揮できないことにストレスを抱えてしまいます。

接客や会議の場が怖くなる

過敏性腸症候群の人にとって、接客や会議など、途中で抜け出せない状況は、強い不安や緊張を伴うものです。腹痛や便意に対する不安に加えて、「ガスが出たら失礼になる」というプレッシャーも重なるため、冷や汗が止まらなくなることもあるでしょう。

特に、静かな場所や1対1での接客ではガスの音や匂いが目立つため、周囲に気づかれないよう必死に我慢することで、さらに腹痛が悪化することも珍しくありません。

そのため、仕事に集中したいのに常にお腹の調子が気になり、

などの問題が起こり、働く意欲や自信を失ってしまうことにつながってしまいます。

こうした悩みが慢性化すると、仕事中の食事や水分補給を極端に調整してしまい、体調不良を起こす原因になるため、自分を追い込みすぎないよう注意が必要です。

過敏性腸症候群で仕事がつらい時の対処法3選

この項目では、過敏性腸症候群の症状を改善するための対処法を紹介していきます。

あなたが少しでも安心して働ける方法を、一緒に探していきましょう。

医療機関を受診する

過敏性腸症候群の症状がつらい時は、迷わず医療機関を受診しましょう。診断や治療は消化器内科で受けられるほか、ストレスが関係する病気であるため精神科や心療内科でも受けられます。

過敏性腸症候群は完治が難しい病気ですが、

などの治療によって、症状を緩和させることができます。

また、医療機関を受診することで、

などのメリットがあります。

つらい病気を1人で抱え込む必要はありません。適切な治療を受けることは、あなたの「働きづらさ」を解決する第一歩となるでしょう。

食習慣を見直す

腸過敏性症候群は、食事の内容やタイミングによって症状の表れ方が大きく変化する場合があります。そのため、食習慣の見直しは、腹痛・下痢・ガスなどの症状改善に効果的です。

意識したい食事の工夫としては、下記のような取り組みが挙げられます。

また、ラーメンやパンなどの小麦を中心とした食事を避け、下記の食材を摂取することも症状改善に期待できます。

ただし、偏った食事ではなく、バランスの良い食事と十分な水分摂取が大切です。

働き方を見直す

先述の通り、過敏性腸症候群はストレスや不安が深く関係している病気です。そのため、職場にストレスや不安の原因がある場合は、症状の改善に向けて働き方を見直すことも大切です。

あなたの働き方に、下記のような問題点はありませんか？

このような働き方で悩んでいる場合は、1人で抱え込まず主治医に診断書を作成してもらい、信頼できる上司・人事部・産業医などに相談してみましょう。職場との話し合いを通して過敏性腸症候群の理解を得られると、あなたに合った働き方へ調整してもらえる可能性があります。

「この職場で働く以上は我慢するしかない…」などと思い込まず、周囲の人を頼る勇気を持つことも大切です。

過敏性腸症候群で仕事を休む時はどうすればいい？

過敏性腸症候群の症状が続く場合、

と感じることもあるでしょう。

この項目では、そのような時に利用できる「休職制度」について解説していきます。腹痛・下痢・ガスなどを我慢して心身が疲弊する前に、会社の制度を利用して長期休暇を取得できることを、ぜひ知っておいてください。

休職制度を利用しよう

休職制度とは、怪我や病気などによって働けない状態になった時、療養のために一定の期間仕事を休むことができる制度です。

過敏性腸症候群の方も、

などの状況であれば、会社に主治医の診断書を提出することで休職できます。

ただし、休職制度は福利厚生の一環として会社が任意で設けている制度であるため、事前に就業規則を読んだり人事部に問い合わせたりして、

このような点を確認しておきましょう。

病気が悪化した時に「退職」という決断を急いでしまうと、その後の生活や就職活動への不安から治療に専念することが難しくなります。

そのため、まずは「安心して仕事を続ける」ためにも、休職制度は積極的に活用すると良いでしょう。

休職中は傷病手当金が支給される

傷病手当金とは、休職期間中に給料の3分の2に相当する金額を毎月受給できる公的な給付金です。

協会けんぽや健康保険組合に加入している方が対象となるため、下記の受給要件を満たせば、ほとんどの会社員が利用できる制度です。ただし、国民健康保険は対象外となる点に注意しましょう。

傷病手当金は最長で1年6か月間受給できます。そのため、例えば「6か月間休職したが、復職できずに離職した」という場合でも、再就職するまでの残り1年間は継続して受給可能です。

休職する場合は傷病手当金を利用して、安心できる環境で治療に専念しましょう。

過敏性腸症候群で仕事を辞めるときに利用できる制度3選

過敏性腸症候群の悪化などが原因で、退職を検討している人もいらっしゃるでしょう。

そこで、この項目では退職後の生活や再就職への不安を解消するために利用できる制度を3つ紹介していきます。

失業保険

失業保険とは、雇用保険に加入していた労働者が退職した後、一定の期間の生活を維持するために受給できる給付金です。

失業保険を受給するには、下記の条件を満たす必要があります。

受給できる金額は収入に応じて異なり、直近6か月の給料平均額の50～80％の間で定められます。収入が多い方ほど給付率が低下する仕組みになっており、月収30万円の場合は約20万円の給付金が受け取れます。

また、病気により離職（＝自己都合退職）した場合の受給期間は下記の表のようになっています。

参考：基本手当の所定給付日数｜ハローワークインターネットサービス

ただし、病気による離職は「特定離職者」と認定される可能性があります。その場合は、

上記のような優遇措置が設けられています。

そのため、過敏性腸症候群で退職した場合は、退職理由を説明できる通院記録や医師の診断書を添えて、ハローワークで特定離職者に該当するかを確認しましょう。

職業訓練（ハロートレーニング）

職業訓練（ハロートレーニング）とは、就職や再就職を目指す方を対象に、仕事に必要な知識やスキルを習得するための訓練を提供している公的支援です。ハローワークによって運営されており、様々な講座を無料で受講できます。ただし、講座によっては一部の教材等で自己負担が必要な場合があります。

職業訓練で受講できる講座では、

など、専門的な分野を学ぶことも可能です。

そのため、

このように考えている方にとって、職業訓練の受講は特にオススメです。

職業訓練には、「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類があります。では、この2つの特徴を詳しく見ていきましょう。

参考：ハロートレーニング｜厚生労働省

公共職業訓練

公共職業訓練は、先述した失業保険を受給できる方を対象とした職業訓練です。

公共職業訓練の主な特徴は、下記の通りです。

ただし、受講には筆記試験と面接による選考を通過する必要があります。また、訓練内容はいつも同じものが開講されているとは限りません。興味がある方は早めにハローワークで確認して、開催予定の講座について情報収集をしておくと良いでしょう。

求職者支援訓練

求職者支援訓練は、失業保険を受給できない方を対象とした職業訓練です。

求職者支援訓練の主な特徴は下記の通りです。

求職者支援訓練は、特に「社会復帰に向けて学び直したい」と考えている方にオススメです。興味がある場合は、ハローワークで受講の相談や確認をしておくと安心でしょう。

参考：求職者支援制度のご案内｜厚生労働省

就労移行支援

就労移行支援とは、病気や障害がある方を対象に、一般企業への就職に必要な知識やスキルを身につける訓練を実施している就職支援サービスです。このサービスは民間企業やNPO法人などが運営しており、全国に3,000件を超える事業所があります。

障害者手帳を所持していなくても、主治医の意見書や診断書があれば過敏性腸症候群の方も利用できます。

就労移行支援では、下記のような体調や不安に寄り添ったサポートが行われています。

また、昨今の就労移行支援では、「IT・プログラミング」などの専門性が高い訓練を扱う事業所も増えています。そのため、利用者の中には、「やりたい仕事を見つけてキャリアチェンジに成功できた」という人も多くいます。

離職後に「すぐには働けそうにない…」と悩んでいる場合は、就労移行支援の利用が特にオススメです。

「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」

就労移行支援の利用には障害者手帳や、主治医の意見書、診断書が必要となると利用を迷われる方もいらっしゃるでしょう。

過敏性腸症候群などの働きづらさを抱えて、就労に悩んでいる方で、岐阜市にお住まいの方は、「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」にご相談ください。働きづらさを抱えている方であれば、障害者手帳などが無くても利用できます。

就労系障害福祉サービスを活用した就労支援を提供し、就職・職場定着するまでを全面的にサポートします。

ご利用案内 | WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜

まとめ｜過敏性腸症候群で仕事がつらい：対処法と利用できる制度

過敏性腸症候群によるつらさを改善するためには、適切な治療を受けて働く環境を改善する必要があります。そのため、あなた自身が症状改善に向けた対処法を実践するだけでなく、周囲の人に「病気のつらさ」を打ち明ける勇気を持つことが大切です。

あなたが安心して働けることを祈りつつ、この記事の最後とさせていただきます。