支援制度

仕事中に気づいたら寝てるのはナルコレプシー?対処法や利用できる支援制度を紹介!

「仕事中に激しい眠気に襲われ、気付いたら寝てしまう…原因は?」
「居眠りが原因で仕事が上手く進まない…対処法はある?」

この記事を開いているあなたは、このような悩みや疑問を抱えてはいませんか?

日中に眠くなること自体は誰しも経験したことがあるでしょう。しかし、「十分な睡眠をとっていても日中に激しい眠気を感じる」「寝てはいけない場面なのに寝てしまう」などの症状がある場合、ナルコレプシーという睡眠障害の可能性があります。

本記事では

  • ナルコレプシーとはどんな病気?
  • 仕事中に寝てしまう時の3つの対処法
  • ナルコレプシーの方が利用できる3つの就職支援

について解説していきます。

この記事が、仕事中の眠気を制御できずに悩んでいるあなたの一助となれば幸いです。

ナルコレプシーとは?


ナルコレプシーとは、しっかり睡眠をとっているにも関わらず、日中に過度の眠気に襲われる「睡眠発作」の症状が表れる病気です。時刻や状況を問わず、居眠りするとは考えにくい状況であっても、前触れなく起こるためコントロールできず、眠りに落ちてしまいます。短時間でも眠れば一旦は眠気が軽くなることがほとんどです。

また、ナルコレプシーは睡眠発作以外にも、

  • 「情動脱力発作」
    喜怒哀楽などの突発的な感情がきっかけになり、突然身体の力が抜ける
  • 「夜間の睡眠障害」
    夜間の睡眠中に何度も目が覚めてしまう
  • 「入眠時幻覚・出眠時幻覚」
    寝入る前後や目が覚めるときに、現実的で鮮明な幻覚を見る
  • 「睡眠麻痺(金縛り)」
    寝入り際や起床時に体を動かそうとしても動かなくなる
  • 「自動行動」
    意識が眠りに入っても身体が直前の行動や普段の行動を無意識に実行してしまう

などの症状が表れます。すべての症状が表れる方は全体の10%ほどで、大部分の方は日中の眠気を含むいくつかの症状が表れます。

ナルコレプシーの発症率は、海外では2,000人に1人程度ですが日本人では600人に1人程度であることが分かっており、私たちにとって比較的身近な病気だと言えます。しかし、一般に広く認知されている病気ではないため、仕事中の居眠りが「単なる寝不足」「自己管理ができていない」などと誤解されやすい傾向があります。

また、睡眠発作や脱力発作は転倒や転落、交通事故などのリスクが増加するため、仕事や日常生活に大きな支障が出ることも多いです。

治療法としては、薬で症状を軽減・改善しつつ、生活習慣の改善を長期で続ける必要があります。薬物療法で日中の居眠りをほとんどなくせるため、通常の社会生活を送ることが可能になります。

ナルコレプシーが疑われる場合は、専門の睡眠外来・精神科・神経内科などの医療機関を受診して、正確な診断と治療を受けることが大切です。

仕事中に毎日寝てしまう…|ナルコレプシー以外の3つの原因


ナルコレプシーの概要は先述した通りですが、仕事中に寝てしまう場合の多くはナルコレプシーよりも、寝不足など、身近な原因によって起こるものです。また、ナルコレプシーは症状が似ている他の病気と区別することが難しく、確定診断までに何年もかかってしまうケースも珍しくありません。

そのため、「ナルコレプシーかもしれない」と思った時は、この項目で紹介する原因や病気に思い当たる症状がないかを確認してみましょう。

睡眠不足症候群

睡眠不足症候群とは、長期的に睡眠時間が不足することで日中の眠気や集中力の低下が起こる状態のことです。慢性的な睡眠不足と考えると分かりやすいでしょう。

平日の睡眠時間を6時間以上確保できなければ睡眠不足症候群を発症しやすくなります。

2019年の厚生労働省の調査では、20歳以上の日本人の約40%の睡眠時間が6時間以下であると発表されており、極めて身近な睡眠障害の1つです。

ナルコレプシーとの主な違いは下記の通りです。

  • 日中の眠気は強い
  • 7~9時間程度の睡眠時間を確保できると日中の眠気が改善する
  • 情動脱力発作や睡眠麻痺の症状は起こらない

仕事中に寝てしまう症状に悩んでいる場合、最初はナルコレプシーではなく睡眠不足症候群を疑うことが一般的です。そのため、精神科や心療内科を受診し、生活習慣や睡眠パターンを改善していくことになります。

特発性過眠症

特発性過眠症は、ナルコレプシーと同様、十分な睡眠をとっているのに、日中に過度の眠気が起こります。

ナルコレプシーとは異なる点として下記の点が挙げられます。

  • 起きたときに強い眠気や意識の混濁、体を動かせない感覚がある
  • 短時間の眠りでは眠気が続いてしまい、一度に長く寝てしまう
  • 「情動性脱力発作」や「金縛り」などの症状はない
  • 頭痛やめまい、朝起きられないなど、自律神経症状を伴う場合もある など

精神科や脳神経内科、心療内科の受診でも問題ありませんが、睡眠外来を開設している病院であれば検査がスムーズでしょう。

ナルコレプシーに類似した病気であり、治療方法も薬物療法と生活習慣の改善が軸となっていきます。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。大きないびきや日中の眠気から判明することがあります。

睡眠中に呼吸が止まると体内の酸素濃度が低下するため、夜眠っている時に目が覚める、日中の眠気などの症状が表れます。睡眠の質が低下するため、睡眠時間を十分にとっていても疲れが取れず、慢性的な倦怠感けんたいかんや日中の眠気に襲われることが多くなります。

肥満が原因の1つではありますが、アゴが小さい・慢性的な鼻炎・扁桃腺の肥大化などの要因があれば誰でも発症するリスクがあり、重症と診断された治療が必要な方だけでも国内に300万人以上いると考えられています。

治療法としては、軽度であればマウスピースを用いた治療を行います。最も多いのはCPAP療法と呼ばれる、機械を使用してチューブで強制的に空気を送り込むことで無呼吸状態を防ぐ方法です。また、生活習慣の見直しなども行います。

睡眠時の息苦しさやいびきの大きさを自覚している方は、ナルコレプシーよりも先に睡眠時無呼吸症候群を疑われることが一般的です。気になる症状があれば、呼吸器内科や耳鼻科、睡眠外来を設置している医療機関の受診を検討してみましょう。

ナルコレプシーの方が仕事を続けるための対処法3選


ナルコレプシーの方が働くためには、突然発生する日中の眠気や睡眠発作をコントロールすることが課題となります。この項目では、ナルコレプシーの方が仕事を続けるための対処法を3つ紹介していきます。

専門医を受診する

ナルコレプシーは病気です。病気を抱えながら働き続けるためには、専門医からの正確な診断を受けることが大切です。「該当する症状があるからナルコレプシーだろう」と自己判断をするのは避けましょう。

正確な診断を受けることで、

  • 日中の眠気の原因が明らかになり、病気への自己理解が深まる
  • 診断書を基に職場に理解や配慮を求めやすくなる
  • 医師の指導を受ければ、危険を伴う仕事や作業ミスによるリスクを軽減できる

などのメリットがあります。

現在の医学ではナルコレプシーを完治させることはできませんが、「薬物療法」や「生活習慣の改善」によって症状をコントロールすることは可能です。

困ったときは心療内科や精神科、メンタルクリニック、神経内科を受診してみましょう。「睡眠外来」を設置している病院では、睡眠時の状態を詳しく検査できます。

短時間の仮眠を取る

仕事の休憩時間などに短時間の仮眠を取ることはナルコレプシーの症状を和らげるのに効果的です。日中にあえて仮眠を挟むことで、不足している睡眠時間を補えますし、一度眠ることで眠気の緩和につながります。個人差こそありますが、眠気が強くなる昼過ぎや夕方に10~20分程度の仮眠を取ることで、睡眠発作を軽減できます。

ナルコレプシーの方が意識したい仮眠のポイントは下記の通りです。

  • 眠気に襲われる前に仮眠を取ることを意識する
  • 仮眠の前にコーヒーなどを飲みカフェインを摂取するとスッキリと起床できる
  • アイマスクや耳栓を使用して外部からの刺激を遮断すると仮眠の効果が高まる

ただし、仮眠を取りすぎると起床後に「寝ぼけ」が発生しやすく、睡眠発作の悪化につながる場合もあるため注意が必要です。仮眠の際は横にならず、「デスクでうつ伏せになる」「椅子にもたれる」などの姿勢を取ると、眠りすぎを予防できるでしょう。

職場の環境を調整する

ナルコレプシーの方は単調な作業中に眠気に襲われやすい傾向があるため、空気の流れや光などを調整し、適度な刺激がある環境を整えられれば症状の改善につながるかもしれません。

下記のようなポイントを意識して、職場環境を調整してみると良いでしょう。

  • 部屋の温度を25度前後に設定して、適度な涼しさを感じられる環境を維持する
  • デスク周りにサーキュレーターを設置して、空気を循環させる
  • パソコンのモニターやデスクのライトを昼光色(白い光)にして、適度な明るさを保つ
  • 窓から自然光を取り入れて、日光を浴びる時間を作る
  • 静かすぎる環境を避けて、イヤホンから音楽を流す
  • 1時間に1回程度の頻度で軽い運動やストレッチを行う

デスク周辺や部屋の明るさなどは職場環境全体に影響があるため、上司や同僚への相談が必要な場合もあるでしょう。

ただし、これらの対処法の効果には個人差があるため、専門医と相談してあなたの働き方に合った環境調整を行うことが大切です。

ナルコレプシーで障害者手帳は取得できるの?


精神障害者保健福祉手帳は、病気や障害を抱える方の生活を支援するために自治体から交付される証明書です。

ですが、ナルコレプシーは精神障害者保健福祉手帳の対象疾患には含まれていないため、ナルコレプシーの診断だけでは障害者手帳を取得できない場合がほとんどです。

一方で、

  • ナルコレプシーの症状が重度で、生活に大きな制限や支障が発生している
  • ナルコレプシー以外に、うつ病や発達障害などの精神疾患を併発している

などの場合、例外的に障害者手帳を取得できる可能性があります。

障害者手帳を取得することで、後述する就職支援が利用しやすくなるほか、

  • 所得税、住民税、相続税などの各種税金の減免
  • 医療費や福祉サービス利用料の自己負担額の軽減
  • 電車・バスなどの公共交通機関の割引
  • 博物館、美術館などの公共施設の利用料金の割引・免除

などのメリットが受けられるようになります。

「ナルコレプシーの診断で障害者手帳を取得できるか?」は、お住まいの自治体の基準や症状の状態、日常生活における困り具合などによっても異なります。専門医と相談した上で、市区町村の役所に設置されている障害福祉の担当窓口に問い合わせましょう。

ナルコレプシーの方が利用できる就職支援3選


この項目では、ナルコレプシーが原因で「今の仕事が上手くいかない」「離職中」という方が利用できる就職支援を3つ紹介します。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所では、病気や障害がある方を対象として、一般企業への就職に必要な知識やスキルを身に付ける訓練を行い、就職活動の全面的なサポートを行っています。就労移行支援は障害者手帳が無くても利用できます。

現在の就労移行支援では、従来の軽作業を中心とした訓練だけでなく、

  • 「Web制作」「プログラミング」などのIT系
  • 「デザイン」「イラスト作成」「動画編集」などのクリエイティブ分野
  • 「Word」「Excel」「Power Point」や「簿記の資格取得」などのPCスキル

などの専門性の高いスキルを訓練できる事業所も増加しています。

ナルコレプシーの方が就労移行支援を利用すると、

「病気を抱えたまま就職活動を進めるにはどうしたらいいのだろうか?」
「睡眠発作がハンデとならない仕事や理解のある職場はどのように探せばいいの?」

などの悩みを解決しながら安定した就労を目指すことができます。

就労移行支援について、下記の記事で詳しく解説しています。
就労移行支援は障害者手帳なしでも利用できる!利用するための条件や方法を解説

就労継続支援A型事業所

就労継続支援A型事業所では、病気や障害がある方を対象として、症状や体調への配慮を受けながら働ける場所を提供しています。週5日を目安に4時間~6時間程度の時短勤務を行う事業所が多いです。雇用契約を結んで働くため最低賃金が保証されており、平均賃金は令和5年度時点で月額86,752円となっています。

先述の就労移行支援事業所と同様、A型事業所も障害者手帳が無くても利用できます。

A型事業所が扱う仕事には、下記のようなものがあります。

  • 製品の仕分け、梱包、ラベル張りなどを行う軽作業
  • カフェやレストランの運営、調理、接客などを行う飲食系の業務
  • 野菜や果物の栽培、収穫、出荷作業などを行う農作業
  • Web制作、プログラミングなどを行うIT系の業務
  • データ入力、書類の作成や管理などを行う事務作業 など

近年では専門性の高いPC業務を行っている事業所もある他、条件が合えば在宅で働ける事業所もあります。

「ナルコレプシーの症状が安定するまでは、しっかり配慮を受けながら働きたい」
「収入を得ながらスキルアップを目指しつつ、将来的には正社員として働きたい」

などのように考えている場合、A型事業所がオススメです。

WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜

WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜

「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」とは、2022年9月より岐阜市で始まった就職支援です。病気や障害の有無を問わず、「働きたくても働けない」「働きづらさを抱えている」などの悩みがある岐阜市民の方を対象として、先述した就労移行支援事業所や就労継続支援事業所による就職支援を提供する取り組みを行っています。

「障害者手帳を持っていない場合、どんな手続きで就職支援を利用すればいいの?」
「自分に合った就労支援サービスがわからない…」

このような悩みを抱えている場合は、「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」へ相談してみてはいかがでしょうか。

ご利用案内

まとめ|ナルコレプシーの対処法と利用できる支援制度

まとめ

  • ナルコレプシーとは、睡眠不足などの原因が無いにも関わらず、日中に激しい眠気に襲われ、前触れなく眠りに落ちる病気。突発的な感情の変化によって、突然身体の力が抜ける「情動脱力発作」が起こる場合もある。
  • 日中に激しい眠気に襲われる症状は、ナルコレプシーの他、「睡眠不足症候群」「睡眠時無呼吸症候群」などにもみられるため、専門医を受診して正確な診断を受けることが大切。
  • ナルコレプシーによる仕事中の居眠り対策として、眠気に襲われる前に適度な仮眠を取ること、空気の循環や照明の明るさなどの職場環境を調整することなどが効果的。
  • ナルコレプシーのみの診断でも、症状が重度で生活に大きな支障がある場合や、うつ病などの精神疾患を併発している場合、精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性がある。
  • ナルコレプシーの方が利用できる就職支援として「就労移行支援」「就労継続支援A型」がある。岐阜市民の方なら「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」もオススメ。

今回は、ナルコレプシーに注目し、仕事中に居眠りしてしまう原因や対策を解説しました。

「仕事中の居眠りの原因が病気」という可能性は見過ごされやすく理解されにくいですが、我慢しながら働き続けると重大な事故につながるリスクがあることを忘れてはいけません。

あなたが「ナルコレプシーかもしれない」と疑った時は、迷わず専門医を受診し、適切な支援を利用しましょう。

関連記事

TOP