発達障害がメディアで取り上げられるようになり、公表する有名人も増えた昨今では、「発達障害」は広く認知されるようになりました。このような背景から、「自分も発達障害ではないか?」と考えて病院を受診する方も増加しています。
しかし、発達障害の確定診断に至らなかった方は「発達障害グレーゾーン」として扱われるため、病院を受診したことが余計に生きづらさを抱える原因となるケースもあるのです。
この記事にたどり着いたあなたは、
「特性による悩みが多いけど、グレーゾーンだから支援が受けられない…」
「障害者手帳を持っていなくても受けられる支援はないの?」
このような悩みを抱えていませんか?
岐阜市のお住いの発達障害グレーゾーンで悩むあなたのために、
本記事では
- どうして発達障害グレーゾーンと言われてしまうのか?
- 発達障害グレーゾーンの方が直面しやすい仕事での困りごとについて
- 発達障害グレーゾーンの方の仕事選びのポイント
- 発達障害グレーゾーンの方が利用できる相談支援と就労支援
について解説していきます。
私自身は現在、発達障害の確定診断を受けて3年ほど経ちますが、それ以前は発達障害グレーゾーンとして生活をしていました。その時の経験を踏まえて、今回の記事があなたの役に立つ内容となるよう努めて参ります。最後までお付き合い頂ければ幸いです。
大人の「発達障害グレーゾーン」とは?
発達障害とは、脳機能の発達の偏りによって日常生活・社会生活に困難が発生してしまう、生まれつきの障がいです。
発達障害は大きく分けて、以下の3つに分類されています。
- ADHD(注意欠如・多動症)
「不注意」「落ち着きがない」「衝動的な行動」という3つの傾向が表れやすく、大人の発達障害の中では最も多くの人が診断されています。 - ASD(自閉スペクトラム症)
「コミュニケーションがうまく取れない」「特定の物事に対する強いこだわり・興味を持つ」という傾向が表れやすく、ADHDと併発しているケースもあります。 - LD(学習障害)
「読み書き」「計算」などの特定の作業に困難を抱えてしまう症状がみられ、知的発達や視覚・聴覚に問題がないにも関わらず学習面に困難がある場合に診断されます。
発達障害グレーゾーンとは、これら発達障害の傾向はあるものの診断基準を満たしていないため、発達障害の診断を受けていない方のことを指します。そのため、発達障害グレーゾーンは障がいとして扱われていません。
しかし、必ずしも「発達障害グレーゾーン=症状が軽度」ということではありません。発達障害グレーゾーンの方の中には確定診断を受けている方と同等以上に、日常生活・社会生活の中で困りごとに直面している方もいらっしゃるのです。
以下では、どのような場合に発達障害グレーゾーンと言われるのかについて解説していきます。
情報が不足しているため発達障害の確定診断ができない
先述している通り、発達障害は生まれつきの障がいであるため、確定診断には「幼少期から発達障害の症状が見られたか?」という情報も大切になります。ASDは発達早期から、ADHDは12歳以前から症状が確認されていることが、発達障害の診断基準の1つとなっています。
そのため、発達障害の検査では心理検査のほかに、本人と親の双方から成育歴の聞き取りが行われます。しかし、そこで「昔の記憶が曖昧」「母子手帳などの発育歴を知るための資料がない」などの理由から、双方から信頼できる情報が得られない場合は医師も正確な診断ができないのです。
このような事情から、現時点で発達障害の症状が確認できる(診断基準を満たしている)ケースでも、幼少期の情報が不足している場合は発達障害グレーゾーンと言われることがあるのです。
心理検査時の環境や体調の変化によって発達障害の症状も変化する
発達障害による症状は、心理検査を受けた時の環境や検査員との相性、その日の体調などによって変化する傾向があります。
「日常的に問題なく行えている作業であっても、苦手な上司がいる環境にプレッシャーがかかり、ミスを頻発してしまう」という経験はありませんか?
実際に困難に直面することが多い状況と検査時の状況が異なっている場合や、検査時の体調が良好だった場合には、発達障害の症状が表面化されないことがあります。
もっとも、心理検査の結果のみで発達障害の診断が行われることはありません。しかし、発達障害の特性を持っていても、「日常生活に大きな影響はない」と判断された場合は、発達障害の確定診断に至らずグレーゾーンと伝えられることがあるのです。
発達障害の診断は専門医であっても診断が難しい
大人の発達障害は幼少期の発達障害に見られる症状と比較して、様々な障がいが併存していることが多く、生活の中で直面する困難も人によって異なります。そのため、大人になってから発達障害の確定診断を受けるのは難しいのです。
また、発達障害は解明されていない事が多い分野でもあるため、全ての精神科・心療内科が発達障害の診療を専門的に行っているわけではありません。現在受診中の病院では実施できない検査があったり、専門医が在籍していなかったりすると、「発達障害の傾向がある」としか言いようがないこともあります。
発達障害の診断は専門医でも見解が分かれることがあるため、あなたが「発達障害グレーゾーンではなく白・黒をはっきりさせたい」と考えた時は、セカンドオピニオンを検討することも大切です。
発達障害グレーゾーンが直面する仕事での悩み・問題点10選
現在の医療では、発達障害を治療することはできません。ADHDについては症状の緩和に効果的な薬がありますが、全ての症状が改善するほど万能な薬というわけでありません。
そのため、自分自身が発達障害による特性を理解して、日常生活や仕事に支障を与えないように対処することが求められます。また、特性に応じて適切な「支援」「配慮」を求めることで、周囲の環境を調整することも重要です。
一方で、障がいとして扱われない発達障害グレーゾーンの方は、障がいを開示して適切な支援・配慮を受けることが難しい現状があります。「自分の特性は本当に発達障害に起因しているのか?」についても判断しにくいため、特性を自己理解することが難しいのです。
以下では、発達障害グレーゾーンの方が直面しやすい仕事での悩み・問題点について紹介していきます。紹介するのは一般例となりますが、発達障害グレーゾーンの方の困りごとの整理に役立てば幸いです。
ADHD傾向がある方の場合
①マルチタスクが苦手
ADHDの特性を持つ方は、物事に優先順位を付けることが苦手な傾向があります。そのため、複数の仕事を割り振られた時、効率的な手順を組み立てられず手あたり次第に作業に取り掛かってしまうことがあります。
また、電話対応のように会話をしながらメモを取るという作業では、会話に集中しすぎてメモを取り忘れる、メモを取るのに集中しすぎて会話内容を聞き逃す、などのように複数の物事に注意を向けることを苦手とする傾向も見られるのです。
②些細な物事に気を取られやすく集中できない
ADHDの特性を持つ方は、プリンターの動作音や電話の着信音など、一般的なオフィス環境でも発生する物音に気を取られて集中力が持続しにくい傾向があります。本人に悩み事や考え事がある場合は、そちらに気を取られてしまい目先の作業に集中できないこともあるでしょう。
そのため、パフォーマンスが低下して本来の実力を発揮しきれないことがあるのです。また、このような特性のために注意力が散漫となり、ケアレスミスの原因にも繋がります。
③考え事がやめられず、頭の中がごちゃごちゃしている
ADHDの特性を持つ方は、自分の意志とは関係なく頭の中に様々な考え事が浮かびやすい傾向があります。この傾向については私自身も悩まされており、「複数の音楽が同時に鳴り響いているような感覚」が常にあります。
例えば、「昨日何食べた?」という質問に対して「パスタ」と回答した後、脳内で連想ゲームが始まり「パスタ→イタリア→旅行に行きたいな」と思考して、「今度の休日旅行に行かない?」というような突飛ともとれる発言に繋がりやすいのです。
そのため、ADHDの方は頭の中の様々な思考に邪魔をされてしまい、要点をまとめる作業に苦手意識を感じていることも多いです。
④頻繁に遅刻をしてしまう
ADHDの特性を持つ方は、深刻な遅刻癖を抱えている場合があります。「出発5分前に慌てて外出の支度を始める」「外出までの時間に始めた暇つぶしに気を取られ、出発時刻を過ぎてしまう」といったことは、起きているのに遅刻してしまうADHDの方に多い特徴です。
それに加えて、ADHDの方に多い整理整頓が苦手などの特性が合わさり、外出直前に「鍵がない」「提出する書類が見当たらない」というトラブルが発生してパニックになることもあります。
ASD傾向がある方の場合
⑤言葉の真意に気づけないため、曖昧な表現が苦手
ASDの特性を持つ方は、言葉を言葉通りに受け取りやすい傾向があります。冗談や社交辞令が通じにくいことがあり、「適当に」「多めに」といった抽象的な言葉の表現をされると混乱してしまうことがあるでしょう。
そのため、仕事では「指示通りに作業をしたにも関わらず、できていないと評価される」という事態が多く、「周りの人が当たり前にできていることが、なぜ自分は上手くできないのか?」と他者とのズレを感じて思い悩むきっかけになりやすいのです。
⑥コミュニケーションや対人関係の形成が苦手
ASDの特性を持つ方は、場の空気を読むことや相手の気持ちに共感することを苦手とする傾向があります。自分が思ったことや考えていることをそのまま言葉にしやすいため、一方的に話しすぎたり失言をしたりといったことに繋がります。
そのため、返信までに時間を置けるメールやチャットでのコミュニケーションは問題なくこなせる場合であっても、口頭でのコミュニケーションがうまくできない方が多いです。結果的に誤解を与えてしまい、人間関係のトラブルに繋がることもあるでしょう。
⑦イレギュラーなことが苦手
ASDの特性を持つ方は、「急な予定変更」や「新しい環境」に対応できない傾向があります。ASDの方は、作業の決められた手順やルールに従わなければ結果の予想がしにくいため、物事が常に一定の規則であることを好む「同一性への欲求」を持つことがあります。
このような特性のため特定の物事や行動にこだわりが生まれたり、独自のルールや習慣に縛られたりしやすく、仕事をこなす上で「融通が利かない人」という評価を受けることが多いのです。
LDの傾向がある方
⑧文章の「読解」が苦手
LDの特性を持つ方は、傾向の1つとして文章の読解に困難を抱えていることがあります。文章をどこで区切って読めばいいのかわからない、「ろ」と「る」や「項」と「頃」などのように形が似ている文字の区別が付きにくいという症状があります。
そのため、口頭での指示は理解できていても、マニュアルを読みながらの作業やメール・チャットによる指示では正しい理解ができず、作業などでミスが生じやすいのです。
⑨文字を「書く」ことが苦手
LDの特性を持つ方は、傾向の1つとして文字を書くことに困難を抱えていることがあります。文字に余計な線や点を書いてしまう、文字を書く時に鏡文字になってしまうなどの症状があり、書いた文字が他人から読みにくかったり誤字脱字が多くなったりします。
そのため、資料やメモを作成する際にミスを頻発しやすく、本人自身ではその間違いに気付くことも難しいため、修正することにも困難が生じやすいです。
⑩計算が苦手
LDの特性を持つ方は、傾向の1つとして計算に困難を抱えていることがあります。「100」と「150」ではどちらの数が大きいのかという概念的な部分や、図形やグラフの意味を理解できないことがあります。
そのため、計算や数字の入力が伴う見積書や発注書の作成の際に困難を生じやすいのです。
発達障害グレーゾーンの仕事選びのポイント3選
「発達障害による特性は理解できているのに、同じミスを繰り返してしまう」
「対策を立てても発達障害の特性をコントロールできない自分に嫌気がさしてしまう」
このような悩みは、グレーゾーンを含む発達障害を抱える多くの方が経験するものではないでしょうか?しかし、発達障害の特性による傾向は、自己理解ができていたとしても完璧に対処することは困難であり、本人にはどうしようもない場合もありますよね。
発達障害の特性を持つ方は、職場環境・人間関係・仕事内容にミスマッチを感じることが原因で、転職を繰り返してしまうことがあります。また、漠然とした生きづらさ・周囲とのズレにより、社会へ出ることに恐怖心を抱えている方もいらっしゃるでしょう。
以下では、発達障害グレーゾーンの方の仕事選びのポイントについて紹介します。
「得意なことを生かして」という言葉を真に受けすぎてはいけない
「得意なことを生かして働こう」
これは、発達障害の傾向を持つ方に対してよく言われるアドバイスです。
しかし、このアドバイスは、
「発達障害の傾向を持つ人は、特別な才能や得意なことがないと生きていけない」
という誤解を招いてしまうものでもあります。
ADHDとASDの診断を受けている私自身も、病院や就労支援を利用した際に同じアドバイスを貰ったことがあります。私の場合は、いざ自分の過去を振り返ってみると、人並みにできなかった失敗談ばかりが頭をよぎって、得意なことなど1つも思いつきませんでした。
ですが、これはよく考えてみると当然のことです。
例えば、マイクロソフト創業者の「ビル・ゲイツ」や有名アーティストの「米津玄師」は発達障害ということが明らかになっています。時には彼らの成功談に勇気づけられることもあるでしょうが、一方で実際に彼らと同じことをして成功できる人間はほんの一握りでしょう。
そのため、仕事を選ぶ際に「得意なこと=ナンバーワン」という高い基準を設けてしまうと、あなた自身が苦しむきっかけになりかねません。
時には頂上ばかりを見上げるのではなく、
- 「得意なこと=好きなこと・興味があること」
- 「得意なこと=継続できること」
- 「得意なこと=ストレスなくできること」
というように、肩の力を抜いて自分の近くにある物事に目を向けてみることも大切です。
苦手なこと・絶対にやりたくないことを整理する
得意なこと・好きなこと・興味があることなどが何も思いつかない場合、苦手なこと・絶対にやりたくないことを整理するのも仕事選びのポイントとなります。仕事内容だけでなく、苦手な労働環境や苦手なタイプの同僚・上司などについてもイメージするとよいでしょう。
もっとも、仕事においては発達障害の症状を自己理解し、自分自身がトラブルの防止策や対処方法を考える必要があります。
しかし、仕事内容・労働環境・人間関係などの要素は自分自身では変えられない部分であり、これらの点でミスマッチが発生すると働きづらさの原因となります。得意なことが見つからなくても、苦手なこと・絶対にやりたくないことを避けて進むことが、あなたにとって歩きやすい道となることもあるはずです。
興味がある仕事について詳しく調べて、働く姿をイメージする
上記の2つのポイントを踏まえた上で、仕事選びには業務内容を事前にしっかりと把握しておくことも重要になります。そこから、実際に自分が働いている姿をイメージできるとよいでしょう。
また、自分ひとりで仕事を探す場合は、
「営業、工場勤務、介護、運転手……どれもやりたくない仕事だな」
というように、視野が狭くなりがちです。
そのような時は、第三者にアドバイスを求めながら目指す仕事を明確にすることがオススメです。
例えば、以下で紹介する「地域若者サポートステーション」では、働きたい業種を明確にしていなくても、「〇〇の業務が苦手」「〇〇ができる仕事はないか?」という大まかな情報から適職についてアドバイスを受けることが可能です。
発達障害グレーゾーンでも利用できる、岐阜市の相談・就労支援
発達障害グレーゾーンの方は、本人が抱える困難の程度に関わらず一律で「障がいではない」と扱われてしまいます。
そのため、発達障害の確定診断を受けている方と比較して、発達障害グレーゾーンの方は「社会福祉を利用できない」「仕事上での理解や合理的配慮を得られない」という状況になるため、より深刻な「生きづらさ・働きづらさ」を抱えてしまうことがあります。
しかし、発達障害グレーゾーンの方が受けられる支援が全くないというわけではありません。
以下では、岐阜市にお住いの発達障害グレーゾーンの方が受けられる相談・就労支援について紹介していきます。
岐阜県発達障害者支援センター
発達障害者支援センターとは、全国の都道府県に設置されており、発達障害の傾向を抱える全ての方に対して総合的な支援を行うための拠点です。岐阜市の場合は、「岐阜メモリアルセンター」の近くに設置されています。
利用は全て無料となっており、「相談」「発達」「就労」という3つを中心に支援を展開しています。発達障害グレーゾーンの本人以外にも、家族や支援者などからの相談も受け付けており、「まずは自分の困りごとについて話してみたい」と思った時に、気軽に利用できる相談先です。
発達障害者支援センターで診断を受けることはできませんが、精神保健福祉士や臨床心理士などの専門家が在籍しているため、
「発達障害グレーゾーンについて、確定診断を受けた方がいいのだろうか?」
「セカンドオピニオンを受ける場合、どのような病院を受診するべきだろうか?」
といった疑問にも、的確なアドバイスが期待できます。
地域若者サポートステーション
地域若者サポートステーション(通称サポステ)とは、働くことに悩みを抱えた人の就職をサポートする目的で設置されている、厚生労働省委託の就労支援機関です。
岐阜市の場合は、JR岐阜駅にある商業施設「アクティブG内の2階」に本所があるほか、ハローワーク岐阜と岐阜県シンクタンク庁舎内にも、月に一度出張相談所が設置されています。
15歳~49歳までの仕事を探している方を対象にしており、「就職に踏み出せずに悩んでいる人」が社会復帰をして「職場に定着するまで」の全面的なバックアップを行っているのが特徴的です。
サポステは発達障害グレーゾーンの方の支援を専門とする就労支援ではありませんが、長い時間をかけた綿密な相談・面談を実施されています。ハローワークなどの職業相談ではわからなかった、あなたに合った仕事や労働環境について気付ける可能性もあるでしょう。
サポステ内で実施されている支援内容には、「パソコン講座(Word・Excel・Photoshopなど)」のスキルアップ訓練以外にも、「職業体験」なども実施されています。
「未経験だけれどもやってみたい仕事がある」
という場合に、実際の働くイメージや求められているスキル、発達障害の傾向は仕事に影響しそうか、などの情報を得るためにサポステを利用するのもよいでしょう。
サポステ(地域若者サポートステーション)
相談窓口一覧|岐阜県若者サポートステーション
WORK! DIVERSITY(ワークダイバーシティ)プロジェクトin岐阜
2022年9月より開始された「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」は、「働きたくても働けない」「働きづらさを抱えている」という悩みを持つ方に対して、障害福祉サービスを提供して就労支援を行っています。
「就労移行支援」や「就労継続支援A型」、「就労継続支援B型」は障がいを持つ方が利用対象となるため、本来であれば発達障害を抱える方も利用が可能です。しかし、発達障害グレーゾーンの方は障害手帳を所持することが難しく、これらの就労支援とは繋がりにくい現実がありました。
そこで、「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」ではこうした現状を解決するために、岐阜市にお住いの社会復帰を目指している発達障害グレーゾーンの方を、就労支援と繋げる取り組みに力を入れています。
もっとも、障害手帳を所持していなくても発達障害グレーゾーンの方が就労支援を利用することは可能です。以下の記事を参考にしながら、「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」を利用するかを検討するのもオススメです。
ご利用案内 | WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜
「WORK!DIVERSITYプロジェクトin岐阜」少し掘り下げてみよう
発達障害の傾向を抱える方は、特性により業務内で「苦手な仕事」に直面しやすいケースがあります。
ワークダイバーシティを提唱している東京大学の近藤武夫教授は、
「日本企業での雇用は、苦手な業務を克服して従業員1人ひとりが社内で発生するあらゆる業務に対応できる人材となることが求められやすい」
ということが、障がいを持つ方の働きづらさに直結していると指摘しています。
発達障害である私自身の例では、パソコンを使った事務作業は問題なくこなせますが、接客や電話対応などのコミュニケーションが発生する業務を苦手としています。そこで、「苦手な業務を克服しなければいけない」という点が、仕事内容とのミスマッチとなり離職の原因となるのです。
発達障害グレーゾーンの方も、同じような経験はありませんか?
ワークダイバーシティ(多様で柔軟な働き方)において、採用時に「任せる業務を明確化して適材適所な人員配置を行う」という視点が、本プロジェクトの根幹にあるのです。
就労移行支援
就労移行支援とは、あらゆる障がいや難病を抱える方を対象に、一般企業(障害者雇用)へ就職するために必要なスキルを身に着ける訓練を行い、就職活動の全面的なサポートを行うサービスです。
就労移行支援では、
- 生活習慣や体調の改善、管理、維持をする習慣を身に着ける
- 障がいの特性を理解して、障がいとの付き合い方を身に着ける
- 就職に役立つ知識やスキルを身に着ける
このような点に重点を置きながら、あなた自身にマッチングする就職プランを組み立てて就労支援が受けられます。
ただし、就労移行支援は就職のサポートを行う制度であるため、利用にあたって給料などは発生しません。就職までには一定の期間が必要になるため、利用を検討する場合は以下で紹介する「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」と比較するとよいでしょう。
就労継続支援A型
就労継続支援A型とは、あらゆる障がいや難病を抱える方が、障がいの特性や体調への配慮を受けながら働くことができるサービスです。就労継続支援A型では雇用契約を結ぶため最低賃金が保証されており、労働時間の目安は週20時間程度、月の平均給与は約8万円となっています。
「無理なく働きたい」
「収入を得ながら段階的に社会復帰を目指したい」
と考えている発達障害グレーゾーンの方にオススメの就労支援サービスです。
一方で、就労継続支援A型は「労働する場所」という意味合いが強く、就労移行支援と比較すると、スキルアップや一般企業への就職に特化しているわけではない点に注意が必要です。
就労継続支援B型
就労継続支援B型とは、あらゆる障がいや難病を抱える方が、障がいの特性や体調への配慮を受けながら働いたり、生産活動をしたりできるサービスです。就労継続支援B型では雇用契約を結ばないため賃金は低いですが、週1日や1日1時間などの短時間からでも利用できます。年齢制限もありません。
「自分のペースで働きたい」
「生活習慣を整えながら社会復帰を目指したい」
と考えている発達障害グレーゾーンの方にオススメです。
一方で、就労継続支援B型は「働く生活習慣作りの場」「自立した生活を送れるように支援する場所」の意味合いが強く、就労移行支援や就労継続支援A型と比較すると、スキルアップや一般企業への就職には弱い点に注意が必要です。
まとめ
まとめ
-
- 必ずしも発達障害グレーゾーン=症状が軽いということではない。障がいと認められないため、適切な支援や配慮を求められないことが「生きづらさ」「働きづらさ」に繋がりやすい
- 発達障害グレーゾーンについて、確定診断を受けた方が「生きやすくなる」と判断した場合は、セカンドオピニオンを求めることも1つの手段となる
- 「ADHD」「ASD」「LD」は障がいが併発していることもあるため、仕事上で発生する困りごとを整理することが大切
- 「得意なこと」が見つからなくても「苦手なことを避ける」というアプローチから向いている仕事を考える手段がある
- 発達障害グレーゾーンでも、「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」を始めとして相談できる場所や受けられる就労支援がある。適切な支援を頼ることが大切
今回の記事では、岐阜市にお住いの発達障害グレーゾーンの方に向けて、直面しやすい仕事での困りごとや仕事選びの重要なポイント、受けられる相談支援・就労支援について紹介しました。
私たち人間は花と同じで、適切な土の上に根を張って、適切な環境の中で日差しと雨を受けなければ成長して花を開くことができません。そのため、仕事を選んで就職・離職・転職をするということは、自分に合った場所を見つけるための手段と言えるでしょう。
これから先あなたの人生の旅の中で、「あなたがあなたらしく生きられる場所」を見つけられることを祈りつつ、この記事の最後とさせていただきます。