がん

がんサバイバーが利用できる岐阜市の支援制度を紹介!治療と仕事は両立できる?

現代の日本はがん大国と言われており、2人に1人が生涯のうちにがんを経験するとされています。がんの罹患率は年齢を重ねるほど高くなるほか、飲酒、喫煙、肥満、バランスの悪い食事などの生活習慣も、がんを引き起こす重要な要因になります

「がんの治療と仕事は両立できる?職場は理解してくれるの?」

「治療はひと段落したけれど、社会復帰のために受けられる支援はある?」

がんと診断された時、不安と同時にふと頭をよぎるのは仕事のことではないでしょうか?

岐阜市でがんの診断を受けたあなたのために、

本記事では

  • がんサバイバーの方の抱える苦痛・問題
  • がんサバイバーの方が、がん治療と仕事を両立するためのポイント
  • 岐阜市内でがんサバイバーの方はどのような就労支援を受けられるのか?

について解説していきます。

この記事が、がんと闘うあなたの社会復帰への一助になれば幸いです。

がんサバイバーとは?

がん啓発のリボン

「サバイバー」には「生存者」という意味があるため、「がんサバイバー」と聞くとがん治療を終えて完治した人をイメージする方もいらっしゃるでしょう。しかし、がんサバイバーという言葉の意味は広く、「がんの診断を受けた全ての人」と定義されています。

つまり、がんと診断されたばかりの方、現在がんの治療を行っている方や経過観察中の方など、がんを経験したことがある全ての方を「がんサバイバー」と呼びます。最近では、がん患者を支える家族や友人なども、がんサバイバーの中に含まれると考えられるようになりました。

がんサバイバーという言葉が生まれた1980年代と比較して、令和の時代に「がん」という病気の持つ意味は大きく変わりました。日本では、がんと診断された人のうち3人に1人が現役の労働者です。

また、医学の進歩によりがんの早期発見が可能になった結果、がんは「不治の病」であるというこれまでの認識が変化して「治せる病気」と言われるようになりました。実際に、がんと診断された方の生存率も高くなりつつあります。

これらの背景から、がんは誰の身にも起こり得る身近な病気であり、診断後も社会生活を営みながら長く付き合っていく必要がある慢性疾患なのだと考えられるようになりました。

がんサバイバーの方が抱える薬の副作用や治療の後遺症、再発する不安、経済的な事情、社会復帰などの問題は、医療と社会両面からの支援が必要不可欠です。このように、がんサバイバーの方が抱える問題を社会全体で協力して解決していくという考え方は「がんサバイバーシップ」と呼ばれています。

がんサバイバーが抱える4つの苦痛・問題

「がんサバイバー」や「がんサバイバーシップ」という言葉が広まるにつれて、がんとの共生ができる社会が望まれるようになってきました。しかし、苦痛や悩みが伴うがんとの共生は決して簡単なことではありません。

私事ではありますが私が19歳の時、母親は6年間の闘病生活の末に乳がんで亡くなりました。治療については医師に任せるしかなく、代わりに痛みを引き受けることもできない状況に、家族一同は言い知れぬ無力感を覚える日々でした。

突然のがん宣告を受けた時、がんを抱える本人はもちろんのこと、大切な人を失うかもしれない危機に直面する家族や友人も、どのように現実を受け止めればいいのかわからなくなってしまいます。「前向きに」「弱気にならないで」という励ましの言葉が、がん患者にとっては「元気な人に私の悩みは理解してもらえない」と感じるきっかけになるケースもあります。

がんサバイバーの方は、主に4つの観点から苦悩や問題を抱えると言われています。全人的苦痛とも呼ばれるこの4つの問題について理解することが、がんとの共生には大切です。

身体的苦痛

がんサバイバーの方が経験する身体的苦痛には、がん自体が痛みの原因となる疼痛(とうつう)の他にも、手術の時にできた傷が原因となる長期的な痛みがあります。

また、抗がん剤治療による副作用として、髪が抜ける、吐き気・嘔吐、倦怠感、認知機能の低下などが生じる場合もあります。さらに、体を動かす時にがん細胞が骨や筋肉を刺激して鋭い痛みが発生するため、寝たきりの状態になってしまう方もいらっしゃいます。

このような痛みを我慢することは睡眠不足や体力の低下にも繋がるため、辛い症状が生じている時は医師や看護師に詳しい情報を伝えて適切なケアを受けることが大切です。

精神的苦痛

がんサバイバーの方の約25%は不安やうつ、心理的苦痛を長期的に訴えています。がんという病気の診断を受けると、多くの人はどうしても「死」を連想してしまいます。

「治療はどれくらい続くのか」「本当に治るのか」「転移や再発が怖い」といった将来に対する不安が尽きず、情緒が不安定になってしまうことがあるのです。抗がん剤の副作用で髪が抜けていくなど、外見が変化してしまうことによるショックも大きいでしょう。

また、がん患者の家族は「第2の患者」と呼ばれており、本人と同様に精神的苦痛を感じやすい立場にいます。「自分がしっかりしなくては」という思いから辛さを抱え込んでしまったり、患者本人との抱える感情や苦痛の違いからすれ違いを起こしてしまったりすることがあるのです。

社会的苦痛

「生活費や医療費をどう工面するか」「治療しながら働けるのか」「社会復帰できるのか」といった社会的な問題も、がんサバイバーの方を苦しめる原因となります。

がんの治療のために休職や退職という選択をする場合、収入の減少は避けられません。医療技術の進歩によりがん患者の死亡率が低下しているのは喜ばしいことですが、一方で、保険が適用される医療でも治療費の高額化や治療期間の長期化という問題が生じており、家計を圧迫してしまいます。

後述の、治療費や生活費を補助する制度を活用することや、ソーシャルワーカーなどの社会福祉の専門家に相談することが、社会的苦痛の緩和に繋がります。

スピリチュアルペイン(霊的苦痛)

がんサバイバーの方が、身体的・精神的・社会的苦痛を受け入れようとする時に感じる苦痛は「スピリチュアルペイン」と呼ばれています。健康だった時には考えなかったような「人生の意味」や「死生観」について悩むようになり、自己肯定感や自尊心が低下してしまいます。

仕事や家事を満足にこなせなくなることで自分の役割が失われたと感じ、職場の人や家族に迷惑をかけているという自責の念に駆られてしまうこともあるでしょう。自分の存在が周囲の負担になっていると思うことが、自分の存在価値を見失うことに繋がるのです。

治療に伴って行動範囲が自宅と病院に限定されてしまい、社会的孤立を感じやすくなることが、スピリチュアルペインの原因の根幹にあると考えられています。

がん治療と仕事を両立するための3つのポイント

診察・カウンセリングをする医者・医師

東大病院の中川恵一特任教授は「がんになっても働ける」と話しています。

早期に発見されたがんであれば90%以上は完治するものであり、早期がん患者のほとんどは働きながら治療を行うことが当たり前の時代になりました。

進行がんであっても約60%は完治するようになっており、抗がん剤治療や放射線照射などは外来でも受けられます。そのため、進行がんであっても仕事と治療を両立している方は珍しくありません。

がんと診断されたからと言って、仕事を辞めるかどうかの判断を急ぐ必要はありません。一度落ち着いて、病院・職場・あなた自身についての情報を整理することが大切です。

がん対策推進企業アクション|教えて中川先生!

がん治療と仕事を両立するために、病院で確認したいポイント

病院では具体的な治療方針のほか、治療にかかる期間や費用、予想される副作用、治療のスケジュールなどについて担当医に質問して理解を深めましょう。

治療と仕事を両立できる状態なのか、担当医の意見を聞くことも大切です。しかし、担当医はあなたの仕事について詳しく理解しているとは限らないため、具体的な質問を心がけましょう。

「体を動かす業務はできるのか?」「車の運転は長時間できるのか?」「パソコン作業などのデスクワークなら問題ないか?」というように、できることとできないことを明確にしていくとよいでしょう。

これからの治療について正しい知識を得ることは、会社などに病状を伝える時などにも役立ちます。

がん治療と仕事を両立するために、職場で確認したいポイント

がん治療と仕事の両立を考える上では、あなたの職場にどのような支援制度があるのか確認することも大切です。支援制度については就業規則に明記されているほか、会社の人事・総務担当の方に確認すると詳しく教えてくれるはずです。

加入している保険組合が、独自の高額療養費制度や傷病手当金の給付制度を設けている場合もあるため、会社に所属していることで利用できる制度の確認も忘れないようにしましょう。

  • 治療のために利用できる休暇制度はあるのか?
  • 時短勤務やフレックス勤務、在宅勤務など一時的に働き方を変更できるのか?
  • 通院の日や治療に伴う体調不良が発生している日に休暇を貰える環境かどうか?

このような点を確認して職場に適切な配慮を求めることが、治療しながらでも安心して働ける環境を作ることに繋がります。

がん治療と仕事を両立するために、あなた自身が整理しておきたいポイント

がんを経験することで、生活の中であなたが大切にしたいと考える物事の優先順位に変化が起きるかもしれません。

  • がん治療をしながらどのように働いていきたいか?
  • がん治療をしながら生活を続けるためにはどれくらいの収入が必要になるか?
  • 自分にとって仕事はどのような存在だったか?
  • 自分のため、大切な人のために過ごす時間をもっと大切にしたい

このようなあなた自身の価値観を整理しておくことは、これから先に何かを決める時のヒントになります。

「がんサバイバーシップ」の中で最も大切な考え方は「あなたがあなたらしく生きる」ことです。あなたの考えや気持ちを医師や家族、職場に伝えることが、安心と信頼を生み出して周囲の人との関係を強めることに繋がります。

岐阜市で働きたい、がんサバイバーが利用できる就労支援

受けられる支援

がん治療と仕事が両立できる時代といっても、治療の経過や体調には個人差があります。あなたの体調に合った働き方をするためには、就労支援制度の活用がおすすめです。

がんサバイバーの方が受けられる、岐阜市内の就労支援について紹介していきます。

社会保険労務士による就労支援相談

社会保険労務士とは、就労問題や社会保険制度の専門家です。

「がんの診断を受けたことを話したら、退職を迫られるのでは?」
「傷病手当金や雇用保険の制度を詳しく知りたい」

このような悩みを抱えている方に向けて、岐阜市内のがん診療連携拠点病院では社会保険労務士による相談会を無料で開催しています。

社会保険労務士には就労問題を未然に防ぐという役割もあるため、連携することで治療のための長期休暇後の復職などをスムーズに安心して行えるようになります。

社会保険労務士との連携のヒント集|独立行政法人国立がん研究センター
がん患者の治療と仕事の両立支援|岐阜県

長期療養者就職相談窓口

長期療養者就職相談窓口は、ハローワーク岐阜に設置されています。体調、治療状況、あなたの経験やスキルなどを考慮して、働ける環境がある職場を探す手伝いを行っている窓口です。

  • 治療、通院と両立できる仕事を探している
  • 自分の体調に合った仕事を探している
  • がん患者を受け入れてくれる企業に再就職したい

主にこうした方に向けて、専門の相談員が就職を支援します。

がんの診断後の就職活動は、これまでと大きく段取りが異なる場合があります。ひとりで就職活動を行うことは負担も大きいため、専門の窓口を利用することがおすすめです。

長期療養者職業相談窓口_ハローワーク岐阜|岐阜労働局

岐阜産業保健総合支援センター

岐阜産業保健総合支援センターでは、がん治療と仕事の両立について相談することができます。ここでは、医師や社会保険労務士などの資格を持った相談員・支援促進員が職場を訪問し、あなたの職場復帰のプラン作成の手助けをしてくれます。

具体的には、以下のような助言・支援を無料で受けることができます。

  • がん患者について、会社から誤解なく理解を求めるための助言
  • 職場に対する休暇制度や勤務制度の導入支援
  • 個別の治療状況に応じて仕事をどのように調整するかの支援

がんという病気は誰の身にも起こり得る身近なものです。会社にがん治療と仕事を両立しているあなたがいることは、同じ職場で働く人々にとっての安心感にもつながるため、とても意義のあることです。

治療と仕事の両立支援|岐阜産業保健総合支援センター

WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜

WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜

「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」は2022年9月より始まりました。「働きたくても働けない」「一般企業では働きづらい」という悩みを抱えた方に対して、障害福祉サービスを提供して就労支援を行っています。

これまで「就労移行支援」や「就労継続支援A型」は、障害者手帳や障害福祉サービス受給者証を所持している障がい者の方のみが利用できるサービスでした。

このプロジェクトはこうした支援サービスを、障がい以外の理由から「働きづらさ」を感じている方にも利用できるようにする取り組みです。もちろん、岐阜市内在住のがんサバイバーの方も利用できます。

「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」の就労支援拠点となっている事業所には、就労移行支援と就労継続支援A型の2種類があり、それぞれ次のような特徴があります。

就労移行支援

就労移行支援とは、障がい(働きづらさ)を抱える方を対象に、一般企業へ就職するためのスキルを身に付ける訓練や、就職活動の全面的サポートを行うサービスです。この制度を利用して就職した場合、安定して長期間働くための職場定着支援を受けることもできます。

ただし、就労移行支援はあくまでトレーニングを受ける制度であるため、給料などは発生しません。また、個人差はありますが、就職までに一定の期間が必要になる点にも注意が必要です。

就労継続支援A型

就労継続支援A型は、障がい(働きづらさ)を抱える方を対象に、一定の配慮がある職場で働く機会を提供するサービスです。雇用契約を結ぶため最低賃金が保証されており、平均給与は月8万円程度となっています。

通院や日々の体調変化などに理解のある事業所も多いため、収入を得ながら段階を踏んで社会復帰したいと考えるがんサバイバーの方におすすめです。

ご利用案内 | WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜

岐阜市のがんサバイバーが利用できる相談機関・補助制度

ここからは、岐阜市内で暮らしているがんサバイバーの方が利用できる補助制度や、相談できる機関について解説していきます。

がんのことや治療についての情報収集をしたい時、がんの治療にあたって利用できる補助制度について知りたい場合の参考にしていただけると幸いです。

ぎふがんねっと

岐阜市内在住の方が、がんと診断された場合に利用したいサイトが「ぎふがんねっと」です。ぎふがんねっとは、岐阜県内でがんの診療を行っている病院が協力して運営しているがん情報サイトです。

がんの基礎知識や治療に関わる情報、がんの相談支援窓口などの情報が、患者の目線からわかりやすくまとめられています。岐阜県に密着しているため、岐阜ならではのがんに対する取り組みや補助制度を調べることができます。

ぎふがんねっと – 岐阜県がん患者支援情報提供サイト

がん相談支援センター

がん相談支援センターとは、がん診療連携拠点病院内に設置されている相談窓口です。がん診療連携拠点病院は岐阜県内に8か所あり、岐阜市内には次の3か所があります。

  • 岐阜大学医学部付属病院 
    058-230-4049
  • 岐阜県総合医療センター 
    058-246-1111
  • 岐阜市民病院 
    058-251-1101

「担当医の話が難しくて、がんの病状や治療方針についてよく理解できなかった」
「セカンドオピニオンは受けた方がいいのか?」
「ひとりでがんについて考えるのは不安……現状の整理や情報収集をサポートしてほしい」

このようながんサバイバーの方が抱えるあらゆる疑問・不安について、専任の看護師やソーシャルワーカーに無料で相談できます。ただし、治療についての判断は行っていない点に注意が必要です。

岐阜県総合医療センター : 相談支援センター|がん情報サービス

がんサバイバーのための当事者会

あなたは、がんになったことで交友の機会が減った、出かけることが少なくなった、などの悩みを抱えてはいませんか? 岐阜市でもがん患者の方が、がんについて気軽に語り合う交流を目的として当事者会が開催されている場所があります。

がんを克服した方の話を聞くことは、治療を行うあなたにとって大きな希望となることもあるでしょう。時には、あなたが抱える不安を言葉にして誰かに支えてもらうことも大切です。

岐阜市にも、がんサバイバーのあなたのための居場所があることを知って頂ければ幸いです。

がん体験者さんのおしゃべり会「きよまるcafe」

みんなの森ぎふメディアコスモス内で月に1回開催されているのが「きよまるcafe」というがんサバイバーの方の交流会です。

きよまるcafeの企画者である岡本記代子さんもがんサバイバーであり、「がん患者の方が安心して話せる場所をみんなで作りたい」という思いで開催されています。

申し込みは不要で参加費も無料なため、気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
開催日程は「ぎふがんねっと」などで確認することができます。

ぎふがんねっと|きよまるcafe検索結果

がん患者サロン

岐阜県内でがん診療連携拠点となっている病院では、定期的にがん患者サロンが開催されています。

岐阜大学病院で開催されている「がん患者サロン 和み」では、がん治療の経験を持つピアサポーターを相手にがんについての相談をすることができます。

岐阜県総合医療センターで開催されている「ほっとサロン」では、がんについての相談はもちろんのこと、同じがん経験者と出会い交流をする場所として利用することもできます。

あなたの体調に無理のない範囲で交流を広げることは、思わぬ楽しみに出会えるきっかけになるかもしれません。ぜひ、気軽に参加してみてください。

がん患者サロン-和み-|岐阜大学医学部附属病院 がんセンター
ほっとサロン|がん医療センター

岐阜市が行っている補助制度

岐阜市では、がん治療のために以下の補助制度を設けています。

医療用ウィッグ・乳房補正具の購入費助成

岐阜市では、がんサバイバーの方の社会参加を促すことや治療生活の質を向上させることを目的として、以下の医療用補正具を購入する際に金額の一部を助成しています。

  • 医療用ウィッグ
  • 乳房補正パッド
  • 人工乳房
  • 乳房補正具を固定する下着

がん患者医療用補正具購入費助成(岐阜市・大垣市にお住いの方)|岐阜県

生殖機能温存治療の補助制度

がんの治療に伴って生殖能力が低下したり、生殖臓器を喪失して子どもを持つことが難しくなったりする場合があります。子どもを産み育てることを望む方に対し、がん治療によって希望が失われないように精子・卵子などを凍結保存することを「生殖機能温存治療」といいます。

岐阜県の取り組みとして、がんサバイバーの方の生殖機能温存のための治療費を助成する制度もあります。

生殖機能温存にかかる治療費の助成が受けられます|岐阜県

ファミリーサポートセンター

ファミリーサポートセンターとは、地域における育児と仕事の両立を促進することを目的として、「子育てのサポートを受けたい人」と「子育てのサポートを行いたい人」が会員となって支え合う制度です。

通院などで子どもを預ける場合、1時間あたり700円~の料金が発生しますが、場合によっては保育の無償化の対象になることもあります。詳しくは、下記ページも参考にしてください。

ぎふファミリー・サポート・センター|岐阜市
幼児教育・保育の無償化|こども家庭庁

がんサバイバーが受けられる全国共通の公的扶助・支援制度

日本には、がんを治療するにあたって治療費や生活費を補助するための制度があります。公的扶助などには、あなた自身が申請をしなければ受け取れない制度も多いため、積極的に活用に向けて動くことが大切です。

そのうち代表的な制度について、紹介していきます。

高額療養費制度(治療費の補助)

高額療養費制度とは、同じ月に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合、後から超過した金額の返金が受けられる制度です。一旦は治療費を立て替えてからの返金となる点には、注意が必要です。

入院などが決まり自己負担限度額を超える支払いが予想できる場合は、限度額適応認定証を取得して提示することで、高額な医療費を立て替えることなく自己負担限度額までの請求に抑えることもできます。

自己負担限度額は年齢や収入によって異なりますが、69歳以下であれば以下の表のように決まります。

年収 ひと月の上限額(世帯ごと)
1,160万~ 252,600円 +(医療費-842,000)× 1%
770万~1,160万 167,400円 +(医療費-558,000)× 1%
370万~770万 80,100円 +(医療費-267,000)× 1%
~370万 57,600円
住民税非課税者 35,400円

高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省

傷病手当金(生活費の補助)

がん治療によって仕事を休む必要があり、会社から給与を貰えない状態になった場合に利用できるのが傷病手当金制度です。健康保険に加入している方が対象となる制度ですが、国民健康保険に加入している方は対象外になるため注意が必要です。

また、仕事を休んでいる期間に給与が発生していても、傷病手当金の額が給与を上回っている場合はその差額を受け取ることができます。給与がゼロになった場合だけでなく、給与が減少した際にも利用できる可能性があるため積極的に活用したい制度です。

患者・国民に身近な医療の在り方|厚生労働省

障害年金(生活費の補助)

障害年金とは、がんなどの病気や障がいによって働くことに支障が発生している方に、お金を支給する制度です。公的年金制度に加入している方が対象となります。

原則として、初診日から1年半が経過した時点での障がいの程度によって受給が決定します。なお、障がいの状況によっては、1年半が経過する前でも申請が可能です。

障害年金は働きながらでも受給できます。利用することで、老後に受け取れる年金が減少するといった心配はありません。

障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構

まとめ

今回は、岐阜市内にお住まいのがんサバイバーの方に向けて、利用できる就労支援やがん治療と仕事の両立方法について紹介しました。

まとめ

  • がん治療と仕事を両立するためには、できる仕事とできない仕事について担当医と相談して明確にしておくことが大切
  • 会社に所属していることで利用できる制度もあるため、仕事を辞めて治療に専念するかの判断は慎重に行うことが大切
  • 岐阜市内では、「社会保険労務士による相談会」「長期療養者就職相談窓口」「岐阜産業保健総合支援センター」などでがん治療と仕事の両立を行うための相談ができる
  • 「ぎふがんねっと」「がん相談支援センター」などを利用することで、がん治療についての情報収集ができる
  • がん患者の当事者会では、がんの経験を持つ仲間と交流や相談ができる
  • 担当医と相談しながら、利用できる相談機関や制度・公的扶助の活用をすることで、安心して治療に臨むことができる

がん治療の辛さや社会復帰に向けた悩みは、ひとりで抱え込まずに担当医やソーシャルワーカー、社会保険労務士などに積極的に相談しましょう。

また、がんと共生する場合には様々な公的扶助の対象となるため、適切に活用していくことも大切です。

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