
「上司・同僚との何気ないやり取りをずっと気にしてしまう…」
「些細なミスを引きずって、帰り道でも仕事のことを考えてしまう…」
この記事を開いたあなたは、このような悩みを抱えていませんか?
考えすぎる性格の影響で何事もネガティブに受け止めてしまい、働きづらさを感じてしまう方もいらっしゃいます。また、気づかないうちにストレスを溜め込んでしまうこともあるでしょう。
本記事では
- 仕事で考えすぎてしまう原因
- 仕事で考えすぎてしまう方の「あるある」な悩み
- 考えすぎる方に向いている仕事
- 考えすぎる性格と付き合うための工夫
について解説していきます。
あなたの考えすぎる性格を否定せず、「向いてる仕事」や「無理のない働き方」について考えていきましょう。
仕事で考えすぎる4つの原因
「考えすぎ」とは、必要以上に物事を考えてしまう状態を指します。考えすぎるあまり、不安を感じたり悲観的になったりして、精神的に疲れてしまうこともあります。特に、仕事において考えすぎてしまう方もいらっしゃるでしょう。
厚生労働省が発表した令和5年度の「労働安全衛生調査」によると、「仕事に強い不安・悩み・ストレスとなっていると感じる事柄がある」と回答した方は労働者全体のうち82.7%に上りました。このことから、仕事に悩みを抱えてしまうのは、決してあなたの「甘え」や「努力不足」が原因ではなく、誰にでも起こり得ることがわかります。
この項目では、仕事で考えすぎてしまう4つの原因について詳しく見ていきましょう。
参考:個人調査|令和5年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要|厚生労働省
完璧主義
完璧主義とは、「常に完璧であるべき」「失敗は許されない」といった極端な思考の傾向を指します。
完璧主義の方は、表面的には「意識が高い」「仕事熱心」と評価されやすい一方で、
- 80点では意味がない。100点じゃないとダメ
- 少しでも不備があったら信用を失ってしまう
- ミスをしたら自分には価値がないと思われる
など、自分を激しく追い込んでしまう性格特性でもあります。
このような「オール・オア・ナッシング(全か無か)」の思考が強いと、常に緊張や不安を抱えて仕事をすることになるため、考えすぎる原因になってしまいます。
ですが、完璧主義の傾向は本人の自覚が無く、思考のクセとして根づいている場合が多く、無意識のうちに自分を追い詰めてしまっているケースもあるため注意が必要です。
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは、「非常に感受性が強く敏感な気質」を持つ方を指します。
HSPは生まれ持った気質であり、「障害」や「心の弱さの問題」、「精神疾患」などではありません。また、HSPの方は「繊細さん」の通称でも知られており、5人に1人程度の割合でいると言われています。
HSPの方は、他人の感情や周囲の音・光などに強く反応してしまうため、
- 上司や同僚の些細な言動に対して過敏に反応してしまう
- 会話の中で相手のちょっとしたトーンや表情に傷ついてしまう
- 職場の雑音や照明、雰囲気などが気になり集中できない
など、他の人があまり気にしないことまで感じ取ってしまいます。また、繊細で刺激を受けやすいために疲れやすい傾向があります。
その結果、仕事中のストレスや不安を生み、考えすぎる状態を引き起こすのです。
過去の経験や失敗による思い込み
考えすぎてしまう方の中には、「過去の失敗」や「叱られた記憶」が頭から離れず、仕事の度にその記憶がフラッシュバックする、という方が少なくありません。
- 以前、メールの宛先を間違えて注意されたことが忘れられない
- 質問をした際に冷たくあしらわれてしまい、相談や質問するのが怖くなった
- ミスして周囲に迷惑をかけてしまったことが、今でも気になってしまう
誰しも1度は経験するこのような記憶は、気づかないうちに「また同じ失敗が起こるかもしれない」という強い思い込みに変化することがあります。
その結果、「失敗を繰り返さないように」と過剰に備えようとする癖が身につき、仕事に対して慎重になりすぎたり、考えすぎたりする原因となってしまいます。
周囲の評価を気にしすぎている
「相手を不快にさせないように、発言や言葉遣いに気をつけないと…」
「仕事が遅いと思われていないかな?」
「もっと効率よく働かないと評価が下がるかも…」
など、周囲の視線や評価を気にしすぎる癖は、考えすぎる原因となります。
特に、現代の職場では成果やスピードなどが重視されがちで、目に見える数字や実績で比較されやすい風潮があります。そのため、丁寧な仕事を心がけている方ほど「真面目に働いたのに評価されていない」と感じてしまい、自己否定の思考に陥ってしまいやすくなります。
また、評価を気にする方は「もっと努力しなきゃ」と自分を追い込みやすいため、
- 仕事を終える度に作業を振り返り、反省会をしてしまう
- 判断に迷って行動にブレーキがかかり、自分の仕事に自信を持てなくなる
- 周囲の反応や意見に敏感に反応して、一喜一憂してしまう
などの悪循環が生まれ、さらに考え込むようになってしまいます。
仕事で考えすぎる方の「あるある」な悩み6選
仕事で考えすぎる方の悩みによくあるものとしては、下記のようなものがあります。
- ミスをずっと引きずってしまう
考えすぎる方は過去の出来事を何度も思い返しやすいため、「反省の念」が「自責の念」に変化してしまうことがある。 - 会話の内容が頭の中でリフレインしてしまう
相手の表情や会話の内容を深読みしすぎて、ネガティブにとらえたり対人関係に緊張したりすることがある。 - うまく考えがまとまらない
考えすぎると思考が堂々巡りに陥りやすく、判断能力や作業効率の低下につながる。また、話がまとまらず「簡潔に要点を伝える」のが難しくなることも。 - 人に頼ることができない
考えすぎる性格から人を頼ることができず、悩みを1人で抱え込みやすくなる。 - オンとオフの切り替えができなくなる
何をしていても仕事のことを考えるようになり、プライベートを楽しめなくなったり夜に眠れなくなったりすることがある。 - 不安から何もできなくなる
「失敗するかも」という不安が先走り、新しいことにチャレンジしにくくなる。
これらの悩みの中に当てはまるものがあれば、あなたも考えすぎる性格の持ち主かもしれません。ですが、それはあなたが物事を丁寧に考えられる、真面目な方だからこそ起きる悩みでもあります。
次の項目では、あなたがストレスを溜め込まないように、考えすぎる方に向いている働き方や、仕事の中でできる工夫について紹介していきます。
考えすぎる方がストレスなく働ける仕事の特徴
この項目では、考えすぎる方に向いている仕事の特徴を4つ紹介します。
考えすぎる性格は苦しくなる原因になっているかもしれませんが、見方を変えれば「深く物事を考える力」「丁寧な仕事ぶり」「慎重な判断力」などの長所にも変わります。そのため、無理に性格を変えようとはせず、自分自身に合った仕事を見つけることも選択肢の1つです。
量より質を求められる仕事
考えすぎる方は、1つひとつの作業にじっくり向き合い、細部まで丁寧に仕上げようとする傾向があります。そのため、「スピード重視」や「数をこなすこと」などが求められる仕事では、焦りや不安を感じやすくなります。
一方で、「丁寧に、正確に、品質高く仕上げられるか」が重視される仕事では、慎重さやこだわりの強さがそのまま強みになるのです。例えば、「デザイン」「校正」「品質チェック」などの職人気質が歓迎されやすい分野では、じっくり考える姿勢が大切になります。
量より質が求められる仕事では、丁寧な仕事を高く評価されやすいため、「真面目に働いているのに認められない」などの悩みを抱えることが減り、自然体で力を発揮できるでしょう。
思考力を生かせる仕事
考えすぎる方は、物事を深く掘り下げたり納得できるまで考え続けたりする習慣から、「論理的思考力」や「仮説を立てる力」を備えている傾向があります。
この思考の深さや探究心は、分析や企画、戦略を立てる仕事で大きな強みになります。
例えば、「マーケティング」「エンジニア」「企画職」「研究職」など、よく考えて物事を正確に読み解くことが求められる分野では、考えすぎる性格が武器となります。
これらの仕事ではアイデアや考えが直接評価の対象となるため、性格を生かして働くことが結果に結びつくことになるでしょう。
対話よりも作業中心の仕事
考えすぎる性格から対人関係に慎重になりすぎてしまう方は、「1人で完結できる」「コミュニケーションが少ない」などの特徴がある作業中心の仕事がオススメです。
例えば、「データ入力」「プログラマー」「CADオペレーター」などのデスクワークや技術職は、作業に没頭する時間が長く成果主義であるため、真面目さや集中力が評価されやすい仕事です。これらの仕事は、人目が無い落ち着いた環境で働ける在宅ワークと相性が良い点も大きなメリットになります。
考えすぎて他人に気を使いやすい方は対人関係によるストレスを受けやすいため、周囲に合わせて空気を読むことを求められない作業中心の仕事であれば、ストレスなく働けるでしょう。
作業の進め方が決まっている仕事
考えすぎる方は、仕事中に「作業の進め方に間違いはないか?」「ミスはないだろうか?」と悩んでしまう場面が多く、思考や判断の連続が精神的な負担になりやすい傾向があります。
そのため、マニュアルが具体的で、手順やルールが定められている仕事の方が、迷いが減り安心して作業に取り組むことができます。例えば、「事務職」「工場作業」などの仕事は、業務内容が明確な職場が多いため、慣れればルーチンワークとして働くことが可能です。
考えすぎて迷うことが多い方は、「決まった手順を守ればOK」「成果の基準が明確」などの特徴がある仕事が向いているでしょう。
考えすぎる自分と付き合いながら働く工夫4選
「考えすぎる性格を変えたい」と思っても、上手くいかないことが多いです。そんな時は、自分の性格との付き合い方を見直す方が現実的で、ストレスも少ない場合があります。
この項目では、仕事中でも実践できる、考えすぎる性格と付き合いながら働く工夫を4つ紹介していきます。
完璧を求めすぎない
先述した完璧主義の思考がある方は、自分に高いハードルを課してしまいがちです。ですが、仕事では「必要十分でOK」「ミスは改善すればいい」という場合が多く、全てにおいて100点を求められる訳ではありません。
まずは、あなたの中で「これくらいのクオリティなら大丈夫」という基準を決めることが大切です。「あえて80点くらいで仕上げてみる」「同僚の仕事と比較してみる」などの工夫を試し、完璧である必要はないと感じられるように練習してみましょう。
仕事において重要なのは、完璧ではなく「終わらせる力」と「継続する力」です。完璧主義から離れて適度な力の抜き方を見つけられると、働きやすさが向上することもあります。
考え事を書き出してみる
頭の中で思考が堂々巡りになり停滞してしまう場合、考え事を紙やスマホアプリに書きだして言語化するのが効果的です。思考を言語化して目に見える形になると、考え事を客観的に整理しやすくなります。
考え事を書きだす際は、綺麗な文章にまとめる必要はありません。そのままの感情や思考を思うままに書き出すことが大切です。
特に、仕事中の「会話」や「ミス」に関わる考え事は、その時の状況や気持ちを具体的に整理できると、「そこまで気にしなくてよかった」と気付けることもあります。考え事を抱え続けるのではなく、外に吐き出す習慣が身につくとストレスが軽減し、精神的な余裕を持てるようになるでしょう。
考え事を人に相談する
考え事は、1人で悩み続けると考えすぎてしまい、深刻化してしまいます。そのため、答えが出ない考え事は、信頼できる同僚・友人・家族に相談するのが効果的です。
考え事を相談することで、共感や適切なアドバイスを得られます。また、問題の解決には至らなくても、身近な方と悩みを共有できるため安心感が生まれます。
考えすぎる性格の方は「相談すると迷惑に思われないかな?」と、助けを求めるまでのハードルが高い場合もあるでしょう。しかし、実は「頼られることを嬉しく思う方」もたくさんいます。時には、身近な方に本音を打ち明けることが、信頼関係の構築につながる場合もあるでしょう。
話を聞いてもらうだけでも十分な効果があるため、「相談しても解決しない」と思い込まず、少しずつ人に頼る習慣を身につけていくことが大切です。
考え事に集中する時間を設ける
考えすぎる方は、仕事中に考え事が始まるとモヤモヤを抱えたまま働いてしまうことがあります。すると、「仕事70%・考え事30%」のように、頭の中のリソースが中途半端に分散する原因になってしまいます。
しかし、考え事が始まった時に、「もう考えるな!」と意識的に思考を抑え込むのは難しく、余計に気になってしまうこともあるでしょう。
そのような時は、
「今から5分間だけ考え事に集中しよう」
「考え事を書き出して、昼休みにゆっくり向き合ってみよう」
など、考え事をする時間やタイミングを自分で設定するのが効果的です。
考え事に100%集中できる時間を設ける習慣が身につくと、少しずつ頭の中の切り替えがスムーズに行えるようになるでしょう。
まとめ|考えすぎる人に向いている仕事、性格との付き合い方
まとめ
- 考えすぎる方は「完璧主義」「HSP」などの性格的特性を持っていることが多い。「過去の失敗」「周囲の評価」などを気にしやすい傾向にある。
- 考えすぎる方は「思考力や判断力の低下」「人に頼ることができない」「仕事とプライベートの切り替えが難しい」などの悩みを抱えやすい。
- 考えすぎる方に向いている仕事の特徴は、「量より質を求められる仕事」「思考力を生かせる仕事」「作業中心の仕事」「マニュアルが具体的な仕事」などが挙げられる。
- 考えすぎる性格と付き合いながら働く方法として、「完璧主義から離れる」「考え事を書き出して具体化する」「考え事を人に相談する」「あえて考え事に集中する時間を設ける」などが挙げられる。
考えすぎる性格は、「直さなければいけない欠点」ではありません。
むしろ、丁寧に物事を考えられること、相手の気持ちを自然に想像できることは、あなたにしか持てない大切な長所だと言えます。
ですが、考えすぎる性格があなたを苦しめているなら、働き方や職場環境を見直すことも1つの選択肢です。また、向いている仕事を見つめ直したり、性格と上手く付き合う工夫を取り入れたりすることで、ストレスなく働けるようになるでしょう。
この先、少しでも心が軽くなる働き方に出会えることを祈りつつ、この記事の最後とさせていただきます。
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