うつ病

うつ病で障害者手帳はもらえない? 取得のメリットと手帳なしでも受けられる支援制度を紹介します

うつ病を抱えている、この記事を開いているあなたは、

「障害者手帳、本当に貰えるのか不安…」
「手帳の取得にメリットやデメリットはあるの?」
「どうやって申請するのかもよくわからない…」

などの不安や悩みはありませんか?

うつ病は精神障害として扱われるため、専門の窓口へ申請して審査に通れば、症状に応じた等級の障害者手帳を取得できます。

本記事では

  • 精神障害者保健福祉手帳のメリットやデメリット
  • うつ病で精神障害者保健福祉手帳をもらうために必要な手順と知識
  • 医師に伝えるべき2つのポイント
  • 障害年金を受け取っている場合の障害者手帳の交付方法
  • 障害者手帳無しでも利用できる支援機関

について解説します。

障害者手帳を取得するメリット・デメリットは?


障害者手帳とは、何らかの障害によって日常生活に困難がある方を対象に交付される手帳です。うつ病の方が取得できるのは精神障害者保険福祉手帳(以下:精神障害者手帳)です。

精神障害者手帳は、あくまでも後述する支援やメリットを受けるための証明書であり、持っていることを他者に申告する義務はありません。そのため、取得してもデメリットは一切ありません

この項目では、うつ病の方が精神障害者手帳を取得することで受けられるメリットを3つ紹介していきます。

精神障害者手帳を取得する3つのメリット

精神障害者手帳を持っていることで受けられるメリットとして、下記の3点が挙げられます。

  • 民間の割引サービスが受けられるようになる
  • 障害福祉サービスの利用が可能になる
  • 障害者雇用枠が活用できるようになる

地域によって詳細は異なる場合がありますので、お住まいの地域がどういった状況かチェックしてみましょう。

受けられる民間の割引サービス

民間企業が実施している割引サービスの例として、下記が挙げられます。

特にバスやタクシーの運賃が割引されるのは、通院の際に利用できてうれしいですよね。

他にも、映画館での割引や、博物館・動物園・美術館等の博物館施設の入場料割引などもあります。公的なものとしては、公共料金の減免や税金の控除なども受けられます。

手帳を見せるだけの場合や事前に申請が必要な場合など様々ですが、活用を検討してみると良いでしょう。
参考:精神障害者保健福祉手帳運賃割引有無一覧(バス編)|全国精神保健福祉会連合会 pdf
参考:障がい者割引について|日本交通株式會社 タクシーサービスサイト
参考:障害者と税|国税庁

利用可能になる障害福祉サービス

利用可能になる障害福祉サービスとして次のものがあります。

  • 居宅介護(ホームヘルプ)
    調理・洗濯・買い物・掃除などの家事、通院や交通機関などの利用支援などのサポート
  • 共同生活援助(グループホーム)
    夜間や休日、共同生活を行う住居で相談、情報提供など、日常生活の支援
  • 就労移行支援
    就労に必要な知識や能力向上のための訓練、就職活動の支援など

これらの利用には障害者支援区分という、精神障害者手帳の等級とは異なる、支援を必要とする度合いを定めるための生活実態調査を求められます。利用が適切だと判断されれば支援が受けられるので、うつ病で困ったときや社会復帰に向けた助けになるでしょう。

また、通院による定期的な精神医療が必要な方の場合、「自立支援医療制度」が利用できる場合があります。これは、精神医療のために定期的に通院している病院や薬局などでの医療費が、通常3割負担のところ、1割負担に軽減される制度です。

この制度自体は障害者手帳が無くても利用できますが、障害者手帳と同じ診断書で更新できるため、更新時期を合わせると診断書費用の負担が軽減できます。
参考:障害福祉サービスについて|厚生労働省
参考:自立支援医療|厚生労働省

障害者雇用枠での就職が可能になる

平成30年4月を境に、精神障害者も障害者雇用枠を利用できるようになりました。

障害者雇用枠には、下記のようなメリットがあり、うつ病の方でも一般枠より仕事を続けやすいのが魅力です。

  • 障害の状態に合わせた、適度な休憩や職場環境の改善などの合理的配慮
  • 職場に定着するための支援が手厚い など

障害者雇用枠を利用できることは、就職の選択肢を広げられる、ということでもあります。精神障害者手帳を取得する最大のメリットと言えるかもしれません。
参考:平成30年4月1日から障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わります|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク pdf

うつ病で精神障害者手帳をもらうには?


うつ病の方が精神障害者手帳をもらうには、

  • 医師の診断書(かかりつけ医に事情を話して作成してもらう)
  • マイナンバーカード(もしくは運転免許証等、身元を確認できる書類)
    ※郵送申請の場合は写し
  • 写真1枚(縦4cm×横3cm)

を用意して、お住まいの市町村区の役所にある障害福祉担当窓口で「精神障害者保健福祉手帳を申請したい」旨を伝えましょう。

窓口で精神障害者手帳の申請書を発行してもらえるので、職員の指示を聞きながら記入し、上記と併せて提出すれば申請手続きは完了です。審査の結果は2~3か月後に郵送で送られます。

なお、審査で重要視されるのは診断書の内容です。診断書の内容が条件を満たしていなければ、審査に落ちて精神障害者手帳を受けられなくなってしまいます。

再申請は可能ですが、診断書の作成費用は保険適用外であり、精神障害者手帳用の診断書は1枚5,000~10,000円前後と高価です。複数回の作成は手間も費用もかかります。

1度で精神障害者手帳をもらうためにも、診断書に必要な条件は把握しておきましょう。
参考:精神障害者保健福祉手帳制度実施要領 pdf

審査に通る診断書の条件は?

審査に使用する診断書の条件として、下記の3点があります。

  • 精神疾患に係る初診日から6か月以上経過した時点で発行されている
  • 作成から3か月以内の診断書
  • 記されている「症状の程度」と「日常生活に生じている制限の程度」が精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判断基準にある1〜3級のどこかに該当する

これらを満たしていれば、あなたの診断書は「精神障害者手帳を取得するのに妥当である」という根拠になります。
参考:精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準|厚生省保健医療局 pdf

「症状の程度」と「日常生活に生じている制限の程度」について

症状の程度

気分、意欲・行動及び思考の障害の病相期があり、その症状は著しくはないが、これを持続したり、ひんぱんに繰り返すもの引用:精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について pdf

具体例

  • 抑うつ気分
  • 億劫おっくうで何も手につかず、なにもできない
  • 判断力の低下、考えが思うように浮かばない など
日常生活に生じている制限の程度

精神障害の状態が、日常生活又は社会生活に制限を受けるか、日常生活又は社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの引用:精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について pdf

具体例

  • 1人での外出はできるが、大きなストレスがかかると対処できない
  • 自主的な行動ができないことがある など

うつ病に関して、精神障害者手帳3級の判断基準では上記のように定義しています。

そのため取得条件を満たすには、

  • あなたが上記に該当する、もしくは上記よりも悪い状態にある
  • あなたの状態が診断書に反映されている

ことが必要です。

「支障が長時間続いていること」が重要

精神障害者手帳の判断基準は、1〜3級すべて「精神障害者が障害によって生活に支障が出ている、または制限を受けていること」を条件としていますが、その定義には「支障が長期間続くこと」が含まれています。

厚生労働省の「精神障害者保健福祉手帳の診断書の記入に当たって留意すべき事項について」の生活能力に関する項目から引用します。

現時点のみでなく、これまでおおむね2年間に認められ(高次脳機能障害の場合は現疾患発症以降に生活能力の低下が生じたことを確認する)、また、おおむね今後2年間に予想される生活能力の状態も含めて判定し記載する。引用:精神障害者保健福祉手帳の診断書の記入に当たって留意すべき事項|厚生労働省

該当期間中ずっと支障が続いている必要はないですが、「概ね過去2年間に認められているもの、概ね今後2年間に予想される生活状態も含めて記載する」旨が書かれており、「支障が長期間続くこと」が重要視されていると推測できます。

条件の1つである「初診日から6か月以上の経過」は、長期間支障が続いているか、状態を正確に判断するための期間です。

診断書を作成する医師に、ご自身の状態がどういった経過を辿たどってきたかをしっかりと整理して伝えましょう。

医師に伝えておくべき2つのポイント


うつ病で精神障害者手帳を交付してもらうには、診断書を作成するときに「精神障害者手帳が必要となるほど困っている」ことを医師に伝えましょう。

その際は、下記2つのポイントを中心に伝えることを心がけましょう。

  • うつ病によって生活にどの程度の支障が出ているか
  • 長期間支障が出ていて、この先も続く可能性が高いか

前者は等級について、後者は精神障害者手帳の基準を満たしているかについての判断材料になります。

「うつ病による生活や仕事の困りごと」を医師に過不足なく伝えて、審査に問題なく通るような診断書を作成してもらいましょう。

障害年金を受給中なら無条件で障害者手帳を取得できる


障害年金の審査項目は障害者手帳とほぼ同一ですが、より厳しい審査が行われます。

すでに障害年金を受け取っている方であれば、下記の3点を提出することで、手帳が取得できます。

  • 年金証書の写し
  • 年金振り込み通知書の写し
  • 年金証書についての照会同意書

年金証書を参照するため、診断書の発行が不要な点が大きなメリットです。この場合、原則として障害者手帳の等級は障害年金の等級と同じになります。

ただし、年金機構に確認を行わなければ審査ができないため、通常通り精神障害者手帳を申請する際よりも時間がかかります。

また、既に精神障害者手帳を持っているからといって、同じ等級で障害年金の支給が決まるとは限らない点にも注意が必要です。

障害者手帳なしでも利用できる支援機関


「審査に通らなかった場合はどうすればいい?」「障害者手帳を取得する前に受けられる支援は?」などの疑問がある方もいるかもしれませんね。

安心してください。支援機関の大半で必要とされるのは「障害福祉サービス受給者証」であり、障害者手帳は必要とされていません。

なので「ここは障害者手帳が必要なところでは?」と思うような場所でも利用できる場合があります。

この項目ではオススメの機関をピックアップしました。ぜひ参考にしてください。

精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは、こころの健康など、精神保健に関する悩みを幅広く相談できる機関です。

センターには基本的に医師や精神医療の専門家がいるので、うつ病の症状での悩みを相談した場合、それに応じた具体的なアドバイスを受けられます。

「何をどうすればいいのかわからない」といった場合の最初の1歩としてオススメです。
全国の精神保健福祉センター|厚生労働省

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害者の職業生活における自立を図る目的で全国に設置されている支援機関です。

他の支援機関と数多く連携しており、相談することで適切な自立支援を受けることができます。どこを利用したらいいか悩んでいる場合、こちらへ相談してみましょう。
障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省

就労移行支援

就労移行支援では、障害や病気がある方を対象として、障害者雇用枠を含む一般企業へ就職するために必要な知識・スキルを身につける訓練や、履歴書の添削・面接練習などの就活支援、日々の体調管理による生活支援などを提供している障害福祉サービスです。

障害者手帳が無い状態でも、障害福祉サービス受給者証があれば利用できます。障害者手帳取得の手順や手続きについての相談、病院やハローワークへの付き添いをお願いすることもできます。

利用期間は2年間の定めがありますが、うつ病の治療と並行しながら社会復帰を目指したい方へオススメの就労支援です。うつ病で1人で動くことに不安がある場合、利用を検討してみると良いでしょう。

就労継続支援A型・B型事業所

就労継続支援事業所では、現状、一般企業への就職が難しい障害者の方へ、就労の機会を提供しています。

障害の症状や体調への配慮を受けながら働くことができる就労支援サービスです。A型とB型があり、それぞれ雇用形態が異なります。

先述した就労移行支援と同様、障害福祉サービス受給者証があれば利用できます。

就労継続支援A型

就労継続支援A型では、雇用契約を結んで働くことになります。雇用契約を結ぶため、最低賃金が保証された状態で働くことができます。

令和5年度の平均賃金は月額86,752円となっています。一般企業よりも労働時間は短いため、賃金は低いですが、先に述べた障害年金などの制度を組み合わせれば経済的に自立した生活も可能です。

週5日程度働くことになりますが、基本的に残業は無く、必要な配慮を受けた状態で働くことができます。うつ病の症状が安定している方、復職に向けて動きたい方にオススメです。

就労継続支援B型

就労継続支援B型では、雇用契約を結ばずに働きます。雇用契約を結ばないので賃金はありませんが、代わりに工賃が設定されています。

令和5年度の平均工賃は月額23,053円となっています。雇用契約が無いので最低賃金のような保証はありませんが、週1日、1時間から、など、体調に合わせて柔軟な働き方が可能です。

働く機会を提供する場であり、障害福祉サービスを受ける場所なので、就労支援サービスの中でも福祉支援が手厚い傾向にあります。「うつ病の症状が重いけど、社会に参加する機会が欲しい」「無理のない範囲で短時間労働したい」と考えている方には特にオススメです。

参考:令和5年度工賃(賃金)の実績について|厚生労働省 pdf

WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜

WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜
「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」では、岐阜市内在住の「働きたくても働けない」「働きづらさを抱えている」という悩みがある岐阜市民の方を対象に、障害福祉サービスを提供して就労支援を行う取り組みを行っています。

岐阜市内にある「ダイバーシティ就労支援拠点」で、働き続ける力を身につけるための支援を、障害の有無を問わず無料で受けることができます。「ダイバーシティ就労支援拠点」は先述した就労移行支援事業所や、就労継続支援A型・B型事業所です。

このプロジェクトを利用する場合、障害福祉サービス受給者証は不要です。岐阜市にお住まいで、働きづらさがあり、働く前に支援を受けたい方、障害者手帳などをお持ちでない方であれば誰でも利用できます。

精神障害者手帳の交付申請には、初めて病院を受診してから6か月経過している必要があるので、うつ病だけど手帳は持っていない、という方も多いでしょう。また、デメリットはないとしても、気持ちの問題として障害者手帳の取得を迷われる方も少なくありません。

障害者手帳が無い状態で利用できる手段の1つとして「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」への相談、利用を検討してみてはいかがでしょうか?
ご利用案内

まとめ|うつ病で障害者手帳はもらえる?申請方法やメリットは?

まとめ

  • 精神障害者保健福祉手帳を持っていることにデメリットはなく、「民間の割引サービス」「障害福祉サービス」「障害者雇用枠」などのメリットが受けられる。持っていることを申告する義務はない。
  • 診断書を作ってもらうためには、かかりつけ医に「うつ病によって生活にどの程度の支障が出ているか」「長期間支障が出ていて、この先も続く可能性が高いか」を過不足なく伝える必要がある。
  • 現在障害年金を受給している方は、年金証書などの書類で年金を受給していることや等級を証明すれば、障害者手帳を取得できる。
  • 障害者手帳がなくても、多くの支援機関は利用できる。「精神保健福祉センター」「障害者就業・生活支援センター」「就労移行支援事業所」「就労継続支援事業所A型・B型」がオススメ。
  • 岐阜市にお住まいで働きづらさがある方、障害者手帳や受給者証が無い方なら「WORK! DIVERSITY プロジェクト in 岐阜」で「就労移行支援事業所」「就労継続支援事業所A型・B型」が利用できる。

今回の記事では、うつ病の方でも障害者手帳を持つメリットや必要な手順・知識、障害者手帳が無くても利用できる支援制度などを紹介しました。

うつ病を抱えていると判断力が鈍るため、何をどうしたらいいのか不安になることも多いですよね。

困ったときは1人で抱え込まず、この記事で紹介した相談先や医師などを頼ってみましょう。

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